TOKYO ZEV ACTION 東京都

コンテンツ

物流・ゴミ収集・給食配送……28型式の豊富なシャシで多様なニーズに対応 三菱ふそうが新型eCanterで目指すEV化と働くクルマの未来

2023.12.13
量産小型EVトラックeCanterの画像

2017年に日本発の量産小型EVトラックとして発売されたeCanter。2023年3月、そんなEVトラックのパイオニアであるeCanterが国内で3代目となる新型を発売。より多様な物流ニーズに対応できるよう、ボディバリエーションを大幅に拡大したことで話題を呼びました。
今回は三菱ふそうトラック・バス株式会社(MFTBC)開発本部eモビリティマネジメント部の卜部昌行さんとグローバル広報・マーケティング部の辻安奈さんに、開発で注力したポイントや現在の物流ニーズ、そしてMFTBCが考えるカーボンニュートラルへの課題などについて話を聞きました。

新開発のeアクスルが叶えた28型式の豊富なシャシ

車両展示画像
車内画像

2023年3月に発売された国内では3代目となる新型eCanterは、モーターを後軸に統合したMFTBC独自開発の電動アクスル(eAxle)を採用し、ドライブトレインをコンパクトな構造にすることで、従来モデルの1型式からシャシ展開の拡大が可能になりました。国内モデルでは現在、合計で28型式のシャシラインアップを展開しています。
動力取り出し装置(ePTO)も新たに採用し、ダンプ、キャリアカー、脱着車、リヤクレーン、ゴミ収集車といった架装にも対応できるようになっています。
また、回生ブレーキも備えており、発電により強力なブレーキ力を発生し、同時に発電した電気で高圧バッテリーの充電を行うことで、電費向上にも貢献できます。
充電については、普通充電と急速充電の2つに対応。車両の運転席側に両方式の充電コネクトを装備し、プラグをつなぐだけで簡単に充電することが可能です。車載バッテリーからV2x機器を介しての外部給電も可能なため、災害などの緊急時にも活用することができます。

EV専用シャシから新たに開発した3代目eCanter

バッテリー画像

2017年に発売した初代eCanterは、既存のディーゼル車をEV化するところからスタートしました。そこに2020年、安全装備を加えて発売したものが2代目です。
そして、これまでのお客さまの声をすべて盛り込み、「小型の電気トラックだからこそできること」をコンセプトに開発したものが今回の3代目になります。
ディーゼルベースありきの設計だった初代と大きく変わったのは、EV専用シャシから新たに開発した点です。
現在ディーゼルで使われているダンプやゴミ収集車、個人ユースのドライバーが使うトラックなど、多くのラインアップに対応するため、バッテリーやモーター、インバーターや充電ユニット、そして新開発のeAxleなどの主要なEVコンポーネントをすべて一新。さまざまなニーズに応えるためにバリエーションを増やしながらも、架装側に影響を与えないよう、共通で使えるモジュールにしました。
最も注力したポイントは、フレームや架装、タイヤの幅などが決まっている中で、バッテリーも含め、いかにコンパクトにまとめるかという点です。
EVだからこそできる、モーターと後軸をつないでいたプロペラシャフトを廃止し、モーターを後軸に一体化したeAxleを採用することでできたスペースにバッテリーを配置しています。その他、フレームの上をフラットにしたり、さまざまな工夫を凝らすことで、EVとしての性能は活かしつつ、架装側にも影響を与えないものを完成させることができました。

さらに小型化、軽量化、そして効率向上を目指して

ゴミ収集車の画像

街中を走るゴミ収集車や冷凍車など騒音が気になるクルマにとっては、アイドリングがなく、停まっている時に音がしないEVは、騒音や振動を減らせるという点で大きなメリットがあります。
また、ディーゼルのゴミ収集車では架装側のドラムを回す時にエンジン回転数を上げる必要がありましたが、ePTOで架装物を回す仕様にしたことで、さらに静かになっています。
回生ブレーキの強化により踏みかえの頻度を減らし、ワンペダルに近い運転が可能になったことで運転操作も楽になり、ドライバーの負担も軽減されました。
おかげさまで市場の反応は非常にポジティブです。都市内輸送をはじめ、決まったルートを走行するゴミ収集車や学校給食の配送トラックはEVと相性がよく、多くのニーズがあり、すでに導入例もあります。
3代目eCanterを開発するにあたって考えたのは、いろいろなお客さまからの要望を決められた期間の中でいかに満たせるか、ということでした。ようやく現時点でのひとつの答えとして形にすることができましたが、これがゴールではありません。さらに小型化、軽量化、そして効率化向上を目指していきます。
今回、「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」に参加した中で何より嬉しかったのは、多くの子どもたちが我々の開発したトラックに触れたり、乗ったりしてくれたことでした。いきなり環境問題を考えるのは難しいですが、今回の体験が環境やCO²に興味を持つきっかけになってくれたらと思っています。

2039年までに国内で発売されるトラック・バスをすべて電動化

車両展示画像2

EVの普及に向けて今後の課題となるのは、やはり航続距離や充電時間だと思います。航続距離については、回生ブレーキの活用やバッテリー内部システムの見直しによって距離を伸ばす工夫をしていますが、もっと伸ばせるよう引き続き地道な努力を重ねてまいります。
また、充電時間については、フリートユーザーのような何台も持つお客さまが夜間に充電する場合、より効率的な充電が必要になってきます。何十台ものクルマを一括で制御したり、マネジメントを自動化できるシステムなども構築していきたいですね。
現在、充電器の設置サービスやリース関係のプログラムなど、お客さまがeCanterを導入するにあたってスムーズな移行ができるよう「FUSO eモビリティーソリューションズ」というサービスをご提供していますが、このような導入面でのサービスの他、将来的には運用も含めたサービスをトータルで提供していけたらと考えています。
カーボンニュートラルはMFTBCにとって重要な課題です。
MFTBCは2025年までに全製造拠点のカーボンニュートラル化を目指しており、これは日本国内の完成車メーカーで最も速い目標となっています。
また、2029年までに燃料電池トラックの量産化を開始するともに、2039年までに国内で発売される新型トラック・バスをすべて電動化することを目標としています。
製品面での取り組みに加え、製造面でもカーボンニュートラルを達成することで、当社のビジョンである「人と地球に、より良い生活と環境を実現」することを目指します。