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超低床構造でドライバーの身体的負荷を大幅に軽減 日野自動車が小型BEVトラック「日野デュトロ Z EV」を開発した背景

2023.12.20
日野デュトロ Z EVの画像

2022年6月に発売された日野自動車の小型BEV(Battery Electric Vehicle)トラック「日野デュトロ Z EV」。物流事業者との実証実験にもとづき開発された日野デュトロ Z EVの出発点は、今や社会問題となっているドライバー不足の解消でした。
今回は「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」に出展された日野デュトロ Z EVについて、開発責任者であるプロダクト推進部DPOの東野和幸さんに、開発までの道のりや車両に込められた想い、そして日野自動車のカーボンニュートラルへの取り組みについて話を聞きました。

「ラストワンマイル」での使い勝手とゼロエミッションを高次元で両立

【画像】超低床構造を実現し、荷物を持ったままワンステップでの乗り降りが可能

日野デュトロ Z EVは、「物流のラストワンマイル」での使い勝手とゼロエミッションを高次元で両立した小型BEVトラックです。
新開発のBEV専用シャシにより実現した超低床構造で、荷物を持ったままワンステップでの乗り降りが可能になっています。また、荷室の高さは1,795mmあり、立ったままでも荷室内で作業可能なサイズに。ウォークスルー構造を採用したタイプでは、運転席から荷室へスムーズに移動ができ、車外に降りることなく積荷を取り扱うことができます。
4ナンバーサイズに収まるコンパクトな全長、全幅ながら、約8㎥の荷室容積と最大積載量1.0トンを確保。普通免許をお持ちの方ならどなたでも運転できるよう、車両総重量を3.5トン未満に設定しています。
普通充電と急速充電に対応しており、1回の充電で約150kmの走行(WLTCモード)が可能です。また、AC100V電源も2口ついており、庫内の冷凍冷蔵ボックスにも対応できるようになっています。
今回の「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」では、ウォークスルーモデルとアルミバンモデル、そして床面がどうなっているか見ることができるカットモデルの3タイプを展示しています。

EV化とフロント駆動が叶えた超低床フロアでドライバーの負担を軽減

日野デュトロ Z EVの荷台画像
日野デュトロ Z EVの車内画像
日野デュトロ Z EVのモーター画像
日野デュトロ Z EVの車内画像2

宅配・個配の現場ではドライバーが1日に100回以上もトラックを乗り降りします。ワンステップで乗降可能にできれば、そのような身体的負荷を大きく軽減し、ドライバー不足解消に役立てられるのではないか。そのようなコンセプトから考えたのが、超低床構造です。EV化に伴い、従来あったエンジン、トランスミッション、プロペラシャフトをすべて排除。前輪駆動の採用で、バッテリーや電動部で使う充電器、電子コンバーターなどを荷室の床下にレイアウトすることが可能となり、従来の半分である40cmという、ワンステップで乗降可能な高さを実現することができました。
また、ウォークスルーの通路を低く抑えるため、インバーターを下げて少し角度をつけ、モーターやギアもミリ単位で調整。タイヤも一番小さいサイズを採用し、シート位置を極力低くすることでスムーズな乗降ができるよう工夫しています。
Eコマースの発展とともに物流の世界は大きく変わりしました。しかし、中身はペン1本の時もあるなど、容積は嵩張るものの重量はさほどないのが実状で、走行距離もほとんどが50km以下です。1.0トンという積載量、そして満充電で150kmの航続が可能である日野デュトロ Z EVは、コンパクトなサイズながら、今の物流現場で必要な条件をしっかりと満たしたものになったと自負しています。

お客さまの困りごとをクルマで解決する、それが日野の仕事

日野デュトロ Z EVの運転席画像

日野デュトロ Z EVの開発に着手した時、すでにドライバー不足の問題が大きく取り沙汰されていました。その一因が、先ほどもお話しした荷役作業性の大変さです。
我々が何度も現場に足を運び、リアルな声を伺う中で気づいたのは、「お客さまの困りごとは運転する時だけではなく、荷物を積み込んで、運転して、届けて、また運転する。このような一連の稼働の中に隠されている」ということでした。そこで朝早く営業所に行き、荷物を積み込む前からスタンバイして稼働を後ろから追跡、その中で捉えた潜在ニーズを共有して開発に活かしました。
こうしてドライバー不足という困りごとを解決するために、女性や免許取りたての方、高齢の方など、すべての方にやさしく、誰もが使えるクルマを目指して開発したのがこの日野デュトロ Z EVです。
お客さまからは「1日の稼働が速くなった」「仕事が終わった後の疲れ方がまったく違う」といった嬉しい声をいただいています。ヒアリングは発売以降も継続しており、これからも随時、さまざまな改善をしていく予定です。
我々日野自動車は、お客さまの困りごとをクルマで解決することが仕事です。それをEVで実現することで、未来の人たちにもっときれいな空を見せることができればと考えています。

マルチパスウェイでカーボンニュートラルを加速

日野デュトロ Z EVの画像2

今回の「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」では、トヨタ自動車と日野が共同開発し、走行実証を通じて実用化に向け取り組みを行っている、水素を燃料とした大型トラック「日野プロフィア Z FCV」も展示。
CJPT(いすゞ自動車、日野自動車、トヨタ、スズキ、ダイハツ)の活動や4社協業(ダイムラートラック、三菱ふそう、トヨタ、日野)によるシナジーの実現、産官学連携、そして多様なエネルギーを選択肢とするマルチパスウェイなど、日野は今後、カーボンニュートラル達成に向けた取り組みを加速させていく方針です。
内燃機関車においては燃費の向上を図ることはもちろん、液体や気体のカーボンニュートラル燃料や水素燃料など、多様な燃料を統一エンジン母体で対応する内燃機関のプラットフォーム構想を。また、電動車ではさまざまなエネルギーを電気に変え、電池に充電するレンジエクステンダー(RE‐BEV)プラットフォーム構想を考えています。
そして、電動車普及に向けたさらなるチャレンジとして、車両と電池の所有権を分離する「車電分離」にも挑戦。車両は電池を除く価格でお求めいただき、電池はエネルギーとセットで使った分のみお支払いいただくという、新たな仕組みづくりも検討中です。
「人、そして物の移動を支え、豊かで住みよい世界と未来に貢献する」という使命のもと、日野はこれからもお客さまのニーズに寄り添ったソリューションを提供してまいります。